「トイストーリー3」(2010)★★★★★★★★★☆9/10
注意![ネタばれ有り]
私が「トイストーリー」を始めて見たのは9歳の時、おもちゃの持ち主であるアンディをまるで自分だと思いながら見ていた。こうしてアニメを見ている間に、自分の部屋のおもちゃ達が二階で動き回っているんじゃないか?と思い、こっそり階段を登り、部屋を覗いたりした。おもちゃが突然なくなるのは、自分がなくしたんじゃなく、おもちゃが自らどこかへ行ってしまったんだとかなり本気で思い込んでいた。(思い込ませていた)
あれから15年、私は先日「トイストーリー3」を見た。私が25歳になったように、アンディも7歳から17歳に成長していた。私もアンディも、おもちゃ箱のおもちゃ達とはもうすっかり遊ばなくなってしまった。でも、かなり愛着があるから捨てようとも思えない。私は物を捨てるのが苦手だ。私の部屋にあったおもちゃ達は大体が親に捨てられた。さんざ遊んだおもちゃがゴミ袋やダンボールに詰められるのを見て悲しい気持ちになった。
今回の作品のテーマは「おもちゃとのお別れ」。まるで自分のおもちゃとお別れを言うような寂しい気持ちで胸がいっぱいになる。映画を見る前も、鑑賞中も、一体どういう終わらせ方をするのだろうか?とずっと考えていた。そして自分だったらどうするだろうかと。
「トイストーリー2」が前作を超える大ヒットした事により、「トイストーリー3」の製作はすぐに決まった・・・が、公開するまでに10年もかかった。これは製作会社のディズニーとピクサーが大人の事情でもめていた事も影響するが、脚本がなかなか仕上がらない事も大きな理由だった。製作期間に4年もかかった「トイストーリー3」はその2/3がストーリー作り等のプリプロダクションに充てられていた。一時期はバズがリコールで韓国の工場へ行ってしまい、それをウッディ達が助けに行く、という内容になりそうだったらしい。多分ピクサーの事だからそれはそれで面白くなったであろう。しかし、最終的に出した答えはアンディとおもちゃ達のお別れの物語という、難しく、最も悲しい内容を選んだのだ。
さて、製作スタッフはどんなエンディングを用意しているのであろうか?
号泣必須と言われる映画で泣くのが嫌いな私が結局、号泣してしまうラストだった。きっと、子供達からしてみれば悲しすぎる物語だったかもしれない。おもちゃ達の選んだ道、持ち主のアンディが選んだ道、大人になってからこそ分かる感動がそこにはあった。これはトイストーリーのシリーズと共に育ってきた私達くらいの世代の大人に向けての映画ではないだろうか。
私が結婚をして子供を持った時、トイストーリーを子供と一緒に見たい、そう思った。そして、いつか自分の子供が同じようにおもちゃとお別れの時期が来たときに、この物語を思い出しながら一緒に考えてあげたい。
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