「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
★★★★★★★★☆☆8/10
LA映画批評家協会がゼロ年代の映画トップ10
1.「マルホランド・ドライブ」
2.「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
3.「エターナル・サンシャイン」
4.「ブロークバック・マウンテン」
5.「ノーカントリー」&「ゾディアック」
6.「ヤンヤン 夏の想い出」
7.「4ヶ月、3週と2日」&「ロード・オブ・ザ・リング」
8.「千と千尋の神隠し」
9.「ユナイテッド93」&「天国の口、終りの楽園。」
10.「サイドウェイ」
ネタばれ有り
一世一代で石油王になった男の魂の崩壊を描いた力作。主演のダニエル・デイ・ルイスは今作で二度目のアカデミー主演男優賞他、数々の賞を受賞した。彼の演技は役柄にピタッとはまると本当に鬼気迫る演技を披露してくれる。まるで「シャイニング」のジャック・ニコルソンを見ているかのようだった。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の彼が好きな人なら是非、演技だけでも見てもらいたい。
劇中で流れるBGMは、サスペンス映画やホラー映画の様な緊張感を物語に与えている。158分と長い映画で、それほど山も谷も無い映画なのだがちっとも飽きないで見れたのは、音楽の素晴らしさが一役かっている事は間違いない。あと、カメラワークの素晴らしさも添えておきたい。映画の撮影は、観客がまるで自分がそこにいるかのように撮影するタイプのものと、観客を映画から突き放して、あくまで遠くから覗き込んでいるかのように見せる手法がある。コレは後者のタイプ。スタンリー・キューブリックの映画もその手法が多く使われている。
キューブリックの映画が好きな人ならこの映画はきっと好きになると思う。とても共通点が多かった。特に、主人公の最後の一言で幕を閉じ、エンドロールが流れるあたりでニヤッとするんじゃないだろうか?
総合的に優れた映画だったが、全てダニエル・デイ・ルイスを生かす刺身のつまに感じてしまうくらい、彼の存在感が圧巻であった。そういった所があるので、細かい部分を多分見逃していたのかもしれない。だから何回も見てどんどん好きになっていく映画になりそうだ。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」鑑賞の際は、夜、1人でウィスキーを飲みながら見るのが最高の楽しみ方だと私は思う。
注意:演技は素晴らしいがキャラクターに共感出来る人はかなり限られるのでその辺は承知で。
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