”美しい村、静かな暮らし、聴こえてくるのは魔物の足音”
平和な村で小さな事件が起きた。ドクターが落馬をして大怪我を負った。ただの事故かと思われたが、誰かが仕組んだものという疑念が村人に広がる。そう、これは始まりにすぎなかった。小作人が転落死、男爵家の火事、荒らされたキャベツ畑、失踪した子供。小さな事件の積み重ねで、村の空気は少しづつ変わってゆき、村人達の素の姿が、徐々に明らかになっていく。「純粋で無垢な心」を象徴する白いリボンを腕に巻いた子供達は、死の影に怯える。彼らの白いリボンは、守られるのだろうか・・・。
2009年、カンヌ国際映画際最高賞のパルムドールを受賞した本作は、世界中の映画賞を総なめにし、見た者を凍りつかせたと言われる問題作。2010年の終わりに差し掛かり、日本でもやっと公開される。この映画を私は約2年待っていた。ヨーロッパの映画は良い映画でも日本未公開に終わるパターンが多いから少し心配していたが、これで安心だ。前回のブログで紹介したように、今作の監督はミヒャエル・ハネケである。パッと予告を見た限り、映像は美しいし、残酷な暴力接写があるわけでもなさそうだから今までよりは落ち着いた映画の様に見える。しかし、私は騙されないぞ。なんてったってミヒャエル・ハネケだ。監督から、この映画についてのメッセージは・・・
「全ては映画の中に。見えないものを見ようとすることで、見えてくるものを見て下さい。」
人間の内側に潜む悪魔を描き出すのが得意な監督らしい言葉だ。恐怖を見せつけるのではなく、植えつけられるタイプの映画なんだろう。とにかく、早く見たい。
この映画を見る人は、誰でも子供時代を過ごしてきている。私は子供の頃に持っていた無垢な気持ちでこの映画を鑑賞してみたいと思う。みなさんも、この映画、ご覧になられてはいかがでしょうか?
2010年12月より公開(東京は銀座テアトルシネマのみの予定)
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