24歳になってから、一人でBARへ行くという行動をとるようになった。今まではそんな行動に対しては、男のロマンという憧れや、かっこつけたい気持ちが先走っていた。実際、若造が一人で酒飲んでどーするわけでもないし、一人で飲む酒に対してけちっている気持ちの方が大きかったので、リアルに行きたいというわけではなかった。だから、最近になって足を運ぶようになったのは決して、かっこつけたいという理由ではない。
最初に一人でBARへ行った時、入った理由なんて考えていなかった。ただ、自分の家以外で考えたい事があったというくらいだ。自分の部屋というのは、過去の自分が築きあげてきた空間だから、新しい事を考える時にどうも過去の自分が邪魔をする事がある。だから、今までは喫茶店で珈琲を飲みながら考えるようにしていた。じゃあ喫茶店でもいいだろ、と思うが、それは違う。アルコールを飲み、少しハイな気持ちで自分の本能に問いかけたい時があるんだ。案外、酒を飲んだ時の方が普段じゃ、考えられないアイデアを出せる時がある。大真面目に考えて出すアイデアと楽しみながら考えて出す答えが、もしも同じだとしたら私は後者を選びたい。
昨日はジャック・ダニエルとソーセージをつまみながら、ipadで本を読んでいた。それを見たバーテンの娘が話かけてくれた。
バーテン:「それが噂のipadですか?実際使っている人見るの初めてです。それは・・・本とかも読めるんですよね?」
私 :「今ちょうど、読んでいる所ですよ。ほら、こーやって見るんですよ。」
バーテン:「うわっ、思ったよりも読みやすい!使いこなせたら本物の本よりも便利そう。」
私 :「確かに。便利過ぎですよね。」
心の中でこう続けた。(便利過ぎるのも、どうなのかな?)こんな日常が浮かぶ。
私の家には本もCDもDVDもほとんど置いていない。代わりに全部データで持っている。そっちの方が明らかに安上がりだし、場所もとらなくて効率的だろ?全部ダウンロードしちゃえば、わざわざ出掛ける必要なんてないじゃないか。だから休みの日は家は大体家にいる。だって出掛けなくたって家でやりたい事全部できるし。新しい友達もSNSでたくさん出来る。電話もskype使えばみんなの顔見ながらずっとタダ電話が出来る。便利な時代に生まれて本当に良かった。お陰で外に出ないで何でもできるよ。
これは例え話だが、みんな身に覚えがあるような事ばかりだと思う。
パソコンにはマルチタスクという機能がある。
マルチタスク
これは机の上に情報という本を並べているような感じだ。本よりもずっとかさばらない。パソコンでは色んな物を画面に並べられてすぐに見たい物が見られるようになっている。マルチタスクという言葉は、まるで今の私達の生活の事をいっているようだ。一つの事をしながらもう一つの事をする。さらに三つ四つ以上することも可能だ。テレビ見ながらご飯を食べながらパソコンで仕事しながら音楽をダウンロードしながらメールに返信しながららネットで買い物をしながら・・・。なんて便利な時代なんだ。
わざわざ何かする。という作業が減ってきている。私はわざわざ手間をかけてレコード聴きたいし、レンジでチンじゃなくて自分で料理をわざわざ作りたいし、服試着する為にわざわざ出掛けたいし、わざわざお酒を飲む為にこうして隣町のBARへ行きたい。私も、新しい物が好きだ。だから、マルチタスクになってきている今の生活を真っ向から否定なんて出来ない。とりあえず私は不器用だ。色んな事を同時に進めてやるよりも一つの事に集中しないとダメなタイプだ。でも、不思議な事にそうするとまた自分の視野が広がっている事に気づく。
バーテン:「あれ?紙の本も読むんですね(笑)」
私 :「こっちの方が読んだ気がするんだよね。電子書籍より不便だけど。」
「若者たちへ言っておきたい。君達は今、おそらく人類史上もっとも豊かで興味深い時代に生きている。でも、同時に大きな問題もたくさん抱えているんだ。だから、自分の事だけではなく、国や世界のことを考えられる人になってほしい。」 2000年12月28日
ビル・クリントン第42代アメリカ合衆国大統領
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