「dinnerrush」
2002年公開 アメリカ映画
story
N.Y.トライベッカでイタリアンレストラン<ジジーノ>を経営するルイス。ある日、相棒のエリンコが何者かに射殺された。ルイスはその陰に、ビジネスの後釜を狙うマフィアの存在を察知する。人気店ジジーノはそれでも毎日変わらず営業していく。今日も夜が更け、店内は客でごった返し始める。しかし、今夜はどうもいつもと様子が違う。そして、今夜も厨房もホールも様々な思惑が錯綜する<ディナーラッシュ>がやってきた。
様々な問題を抱えたオーナー、ジジーノの花形チーフシェフでありルイスの実の息子のウード、ギャンブル中毒の副シェフ、ウードと寝て店の批評を書いた料理批評家、何でも知ってるバーテン、毒舌な画廊のオーナー、ウォール街の投資家、警察官、そして二人のギャング達が私達にスリリングな料理のフルコースを味あわせてくれる。
キッチン経験者ならこの映画のリアルさにすぐ気がつくはずだ。それもそのはず、この映画の監督:ボブ・ジラルディはレストランの経営者であるからだ。しかも、劇中に出てくるレストラン・ジジーノの経営者である。撮影は本当にジジーノで行われたので細部にいたってリアルである事とディナーラッシュの場面で描かれる臨場感ある映像は彼が本当に知り尽くした経験者であるからなのだ。
Gigino↑
見ている人たちはまるで、厨房の忙しい様子を覗き見ているような気持ちになる。映画というより、半分くらいはドキュメンタリーという気がする。チーフシェフのウードが部下にこんな事を言う。
「シェフへの答えは三つだ。はい・いいえ・知りません、だ。」
私も職場の料理長に同じ事を言われた。ボスの意見が絶対であり、もし間違っていてもボスの意見が正しく、正しくさせるのだ。とても共感できる名言だった。和食をやっている人なら言われた事のある人も多いのではないだろうか。
それにしてもかっこよくて、お洒落な群集劇映画だった。上映中は28曲ものミュージックが流れ、その上に魅力的なキャラクター達が乗せられてリズミカルに躍りだす。マイケル・ジャクソンのミュージックビデオやCM撮影の業界で腕を振るってきた監督ならではの流麗な映像センスが魅力的である。映画を見終わった後、レストランへ行きたくなるし、飲食業界の人なら今日は仕事頑張っちゃおうかな!と思わせてくれる映画である事を約束しよう。そして、映画のラストには、あっと驚くデザートが用意されている。最高の心地よさだ。
ミニシアター系の映画だから、DVD置いてるところが少ないかもしれないけれど、わざわざ探して一見する価値のある映画ですよ。人が行きたくなるレストランというのはどんなに見つけづらい場所にあったも繁盛するものですからね。是非、興味をもたれた方は探してみて下さい。
良い映画と良い料理に共通している事は?
余韻が残る事です。
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