あの「スターウォーズ」を抑えて、アカデミー賞作品賞を受賞した、1970年代を代表する映画である。
簡単に物語を説明すると、失恋した男が過去を振り返る。「何故、彼女と別れてしまったのだろう・・・?」と。その喪失感をウッディ・アレン独特のコメディタッチな言い回しや、映像で表現していく作品。
傷心・喪失感をテーマにしている映画はなかなか進んで見ようとは思えない。この映画は技術的にも素晴らしい映画なので物語の好み等を差し引いても見る価値のある映画である。だから、DVDを買って持っている。しかし、なかなか見れずにいた。
今年の話。とても好きだった女性と俺は別れた。お互いが納得して、特に大きな言い争いをする事もなかった。別れても俺はそんなに落ち込んでいない。これはとても以外だった。もっと彼女の事を引きずると思っていたからだ。
俺は今まで顔を一番重要にしていた。好みの顔じゃなきゃ付き合う気がしない。でも、彼女は違った。この子には自分の本音が話せるし、彼女も同じように本音を話してくれる。俺たちの中でしか笑い合えない会話があった。そういう人に出会える事はとてもラッキーである。だから、彼女と別れるのが嫌だった。なのに、いざ別れた時、落ち込んでいない自分に正直驚いた。
基本的に、別れたら連絡をしない主義。なんだけど、最近彼女とskypeで電話をする機会があった。おしゃべり好きの二人は、壊れた蛇口のようにとどまることなく、おしゃべりをしていた。その時、彼女の異変に気づく。彼氏・彼女じゃないと気づかない異変ってあると思う。まさにそれを感じて、どうしたの?と聞く。彼女は言いにくそうに、「新しい彼氏ができた・・・」と、言った。
こういう事になる事くらい分かっていた。そりゃあもう二人は別れているし、どんなことしようがお互いの勝手だ。だけれど、ものすごいショックを受けている自分がいた。今更、俺は彼女を失ってしまったことに大きな喪失感を
いだく。彼女曰く、
俺とじゃないと話せない話がたくさんあり過ぎる。昔の話も、これからの話も。新しい彼氏が出来た事を言いづらかったのは、それを伝えたら俺がもう連絡をしてくれないと思ったからだ、と。
俺はそのとき、強がってしまった。本当はこれからも連絡を取り合いたい衝動に駆られたが、そうはしない方を選んだ。そして、俺たちは”さようなら”を告げて、電話を終える。
何で俺たちは別れてしまったのだろう・・・?
外はもうすっかり朝だ。今日はもう眠れないなと、思った俺は、棚から「アニーホール」を手に取り見ることにした。映画の中で、主人公が仲良さげな若者カップルにこう聞く。
主人公:「別れない為の秘訣は?」
カップル:「特に何も考えていない」
主人公:「なるほど・・・それが秘訣か。」
別れるのには必ず理由がある。およそ非理性的で不合理な事ばかり。そんな痛い思いをしてもやっぱり付き合いたいと思う。それは痛みをともなってでも”必要”だと感じるからなんだ。
落ち込んでいる時に、見ていい映画かなと思ったけどこういう気持ちだったからこそ、この映画が言いたい本質がリアルに理解できる事が出来た。これから、ずっと大切にしていきたい映画です。
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