「ファニーゲームUSA」(2008年:アメリカ)と「ファニーゲーム」(1997年:オーストリア)
point:★★★★★★★☆☆☆7/10
1997年のカンヌ国際映画祭で、内容があまりに過激でショックを受け、途中退席した観客が出たという問題作。ロンドンではビデオ販売の前に発禁運動が起こった程である。
ミュンヘン生まれの鬼才ミヒャエル・ハネケ監督は、暴力の不快さを再認識してもらいたい、というテーマでこの映画を作ったらしい。確かに鑑賞した後に、とんでもなくストレスが溜まっていた。幸せな家庭がバカンス中に理由もなく、残酷な若者二人とゲームをすることになる。残酷なシーンが出てくるだろうと思えば、暴力接写がほとんどなく、見せないようにしている。見ているこっちは頭の中で何が起こっているか想像する、だから逆に怖い。そして、クライマックスの場面を見れば誰でも「え!?」っと思わずにはいられない場面がある。この映画は、映画のルールを完全に無視して作っている非常に実験的な映画ということが分かる。とりあえず、「もう二度と見たくない映画」のリストに入れる事ができる映画だ。私は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の隣あたりに並べている。
見終わった後のテンションは最悪だし、彼女や家族と見てしまった日には、せっかくの休みが台無しになりかねない映画なんだけれども、現代人には是非一度は見てもらいたいとも思ってしまう。もちろん、暴力について考える心構えを持って見てもらいたい。暴力の残酷さ、不快感を体感して、「暴力はいけない」と認識させてくれる反面教師的な映画だからだ。
因みに、2年前に公開された「ファニーゲームUSA」は同じ監督がリメイクしたものである。オリジナル版を見た人なら見て驚くと思うが、カメラのアングル、編集、台詞がまったく同じなのだ。ただ役者と場所が違うだけ。この映画によっぽど監督は自信があるのだろう。
私の周りの友達は、あまりこういう映画が好きな人はいない。だから、こういう映画についてブログに載せたら後でどんな趣味してるんだよ、と思われる事が予想できる。それでも、思わずこの映画を紹介したくなったのは、同監督の作った最新作が、今年の12月に日本で公開される事が分かったからである。ずっと見たいと思っていた映画なので、色んな人に興味をもってもらいたい。その為には、まずミヒャエル・ハネケ監督の映画を知らないと面白さも半減してしまう。「ファニーゲーム」を無理して見る必要はないけど、予備知識があった方がハネケ監督の映画は面白い。監督の個性が映画にとても反映されるタイプの人だから。日本の監督で例えると「告白」の中島哲也監督といった所か。
では、その新作の紹介は次回ということで、興味がある人だけ、「ファニーゲームUSA」の予告があるのでご覧になられて下さい。
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