「チェーサー」とは、強い酒を飲む際に添えて出される、口直し用の冷たい水や炭酸水の事をいう。
ここで云われる強い酒というのは、度数の高い酒の事。酔い覚ましに飲んだりもするが、テイスティングする人などは酒を一口飲む毎に必ずチェーサーを飲んで味を見極めたりするらしい。
飲食店で働いていると、お客様から
「チェーサー下さい!」
と、云われる。初めてこの言葉を耳にするスタッフはなんのこっちゃ?みたいな顔をする。
居酒屋だとワインや焼酎や日本酒をよく飲むお客様にチェーサーを出すのが鉄板。時々だが、大して強くない酒を飲んでる人が、
「チェーサー下さい!」
と、言う。
私は、水って言えばいいのに・・・と思ってしまう。本来の意味を考えると使い方違うでしょ?だから、提供する際にはわざわざ「お水でございます。」と言いなおす。
なんだろう。別にそいつが駄目だとか、やめろとか言っているわけじゃない。細かい事だが意味を知って、使い分けた言い方が出来たとしたら、それは素敵な事なんじゃないかな。
鮨屋の話だけど、
シャリ=飯
ガリ=生姜
オテモト=箸
ムササキ=醤油
アガリ=お茶
コレは、何で言い方が違うかというと、鮨屋の仲間同士で使う隠語だからだ。
(隠語とは、ある特定の専門家や仲間内だけで通じる言葉や言い回しや専門用語のことで、外部に秘密がもれないようにしたり、仲間意識を高めるために使われる)
従業員がトイレへ行く時は、トイレと言うのではなく「3番行ってきます。」と、番号を使ったりするのも隠語である。
つまり、隠語って働いている人だけの言葉であって、お客様がこれを使うのはどうも間違っている気がするんだよね。
飲食店で食事を済ませた後、私は時々、
「おあいそぉお願いします。」
と、言っていた。しかし、これって実はかなり間違った発言で、
「愛想がつきたので清算お願いします。」
という意味になる。かなり失礼な客だ。
「おあいそ」は、お店側が「お愛想がなくてすみません」等と断りを言いながら勘定を渡す時に使うが正しいのだ。
なんで私がお勘定とかお会計とか言わないで「おあいそ」って言っていたのかというと、きっと「通」ぶっていたのだろうなと思う。
こうやって知ったかぶりをして、間違った発言をしているとお店に対して失礼なんだなと感じる。働いている人で気にしない人も多いかもしれないが、なにくせ料理人とかってプライドが高い。きっと、心の底では聞いていて良い気分ではないんじゃないかな?
「この客できるな・・・」とか、思われているわけがないのだ。実はとても恥ずかしい事をしていたんだと反省した。
へたに通ぶらないで「お勘定!」って普通に言った方がいい。
基本的にお店はお客様にとって良い店でありたいと考えいてる。だからお客もお店にとって良い客である事を考えるべきだ。これって当たり前の様だけど、考えていない人が多いと思う。
お客様は神様かもしれないけど、何やっても許されるわけじゃない。神様だって下手な事すりゃ憎まれるんだ。
こんな言い方ひとつの話だけれど、とても大切なことだと私は思う。
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