ごめん。ブログ書きながら涙が止まらない。
飲食店にとって金曜日はもっとも集客が望める日。私が働いている店もこの日はかなりの予約を頂いていたので、張り切って仕込みをしていた。最近売り上げを落としていたので、今日はかなり期待が出来る日だった。
そんないつも通りの忙しい金曜日のはずだった。
2011年3月11日、午後2時46分頃、三陸沖を震源とする大地震が発生。宮城県栗原市で震度7を観測。その影響は関東にも及び、東京23区でも震度5強の激しい揺れに襲われた。
自信作のプリンをオーブンに入れ、揚場のフライヤーにたまったかすをとっていると、揚げ油が縦に揺れた。一瞬にして背中が凍りつくような寒気が走り、嫌な予感がした。それと同時にホールの子が・・・
「地震!!」
と叫ぶ。そして、ただ事ではない揺れが店内を襲い、私たちはとにかく全ての火と元栓を止めて、みんなと一緒に一目散に外へ飛び出した。
今にもビルが崩壊するかのような嫌な音。私たちの職場のビルが気持ち悪く横揺れしていた。周囲のビルも同様にみな飛び出してきて、自分たちの職場を見上げていた。
人だかりができて、みんなが一つの建物に集中している。最近渋谷駅の宮益坂側に建設中の巨大な建物の大きなクレーンが今にもバランスを失って落っこちてきそうな状態であった。テレビや映画でしか見た事の無い光景を目の当たりにして、どうすればいいか分からなかった。私はとにかくてっぺんの人はどれだけ怖い事だろう。どうかそのまま揺れが止まってくれと祈るくらいしかできなかった。
クレーンの揺れが止まり、特に大きな被害もなかった様だったから、みな軽く冗談を言い合いながらお店に戻った。これからが忙しくなるんだからこんな事に時間を取られるわけにはいかない。
揚場に戻るとフライヤーの油が辺り一面に飛び散っていた。これで火を止め忘れていたら。
自慢のプリンは完成目前で水浸しになっていた。
これはさすがにまずい。家族の事が心配になってきた。しかし電話は繋がらない。
ホールのギャルがTwitterやワンセグで情報を集めてくれていた。
世の中は想像を絶する事態になっているらしかった。
(大津波警報とか震度7とかフジテレビが燃えてるとかミッキーがしゃべったとか)
そして、また余震。同じようにみな外に出る。
またクレーンが落ちそうだ。
一体どーなってんだ??
これは営業どころではなさそうだ。しかし、お客様に連絡はとれない。お店が崩れたわけでもないのなら、私たちは来たるお客様を迎え入れるのが仕事だ。
こういう時は冷静に。。。そう思ってもそう簡単に俺は出来ない。こんな映画みたいな体験生まれて初めてだから。
時間が経ち、いろんな事が明らかになっていく。
電車は全て止まり、復旧の見込みは無し。ほとんどのお客様はキャンセル。系列店はほとんど営業休止。被害が少なかった当店はわずかながらも今日を楽しみにして来てくださるお客様を迎えいる為営業をする事にした。ただし、通常よりも早く営業を終わらす。
ここの職場と別に夜勤の仕事をしている私がまず思ったのは、電車全部止まったら帰れなくね?という事。(家と職場が近いから)
一応電話しとこーにも電話は繋がらない。
なんだか無駄に怒られそうな予感。
あー・・・家族は大丈夫だろうか?友達は?世の中は今どうなってるんだ?
様々な雑念と闘いながら、料理をつくることに集中する。とにかく今はこれしかできない。
来てくださったお客様だって、さぞかし不安でいっぱいになりながらお食事をされていたんだろうなって思うと胸が苦しくなる。
キャンセルしないで来てくれて、本当にありがとうございました。
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